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「交渉人 真下正義」に見た2007年問題

*注意:ネタバレあります。

[R30]: 【映画評】交渉人 真下正義より引用。

デジタルチームは携帯電話を使った犯人の足跡追跡程度しか成果を上げられず、犯人像の特定には結局失敗する。一方、勘と経験チームは爆弾の爆発と列車事故を食い止め、見事“勝利”する。最後に真下が木島警視(寺島進)にある判断の根拠を尋ねられて、こう答える。「いや、ただの勘ですよ!」デジタルの敗北、勘の勝利。年輩客にとっては溜飲が下がる瞬間だ。

だが、本当にそれでいいのか。


まずい。

上記サイトでは「デジタルvs勘」という観点で比較しているが、私は別の観点でまずいと思った。

それが、最近話題になっている2007年問題である。

2007年問題とは、企業の成長期を築いてきた700万人にも及ぶ団塊の世代が一斉に退職することによって、彼らの持つノウハウ伝承問題が生じることである。かつて、サラリーマンはKKD(勘・経験・度胸)によって問題解決をしてきた。しかし、多くの経験を持ちそれによって培った勘を、若い世代に引き継ぐがずに定年退職してしまったら、残された人たちは次に起きる問題にどう立ち向かえば良いのだろうか。

もちろん、これはドラマ(映画)である。そんなマニュアルどおりの話にしたらおもしろくもなんともない。「勘」という個人の裁量により解決するところがおもしろいので、そこに理由を求めてはいけない。勘に賭けるギャンブル性が見る人をドキドキさせ、最後に実はこういうからくりがあったんだとでも裏付けすれば「スゴイなぁ」と感動する。

では、現実はどうなのだろうか。暗黙知は個人の中にだけにあって、共有化されていないのではなかろうか。形式知になっていないのではなかろうか。おそらく、まだ勘と経験に頼っているように思う。

「交渉人 真下正義」。
それは交渉人という役職の真下正義が交渉によって問題を解決するドラマである。そこに存在する交渉術は、まだ勘と経験と度胸による手探りの状態で、警視庁内への交渉術の展開は当分先になりそうだ。失敗の許されない現場で勘に頼るようなギャンブルにも等しい行為が、どこまで続くのか楽しみでもある。


[DVD]交渉人 真下正義 発売日未定。
[参考書籍]思考停止企業(ジャストシステム)
内容:一人一人の暗黙知を形式知に変えることで、知識の共有化を計るためにナレッジマネジメントを構築していく過程をストーリー仕立てに書いた本。

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