Web 2.0と個人ニュースサイト
Web 2.0という単語をあちこちで聞くようになった。多くの関連記事を読み、最もわかりやすいと思ったサイトを3つ上げておく。
・FPN-ニュースコミュニティ- WEB2.0はネット・コミュニティの春の訪れか?
・Web2.0とは? - Web1.5 [ITmedia オルタナティブ・ブログ]
・伊藤直也の「アルファギークのブックマーク」
今時点での私なりの解釈だが「Web 2.0 とはWWWをプラットフォームというよりむしろデータベースとして扱い、ユーザはそれを自分に合った形で使うことができる」ことなのではないかと考えている。しかし、Web 2.0 は「次世代のWeb」と訳されるが、このような分散型データベースを次世代と言っても良いのだろうか。
せっかくなので、Web 2.0 を個人ニュースサイトに当てはめて考えてみる。
従来型のHTMLが手書きのニュースサイト
個人ニュースサイト1.5
ブログを用いたニュースサイト。サイトによっては2.0的であったり1.0的であったりする上、1.5の定義(インタラクティブ)とは少々異なるが、中間という意味で1.5とする。
個人ニュースサイト2.0
ソーシャルブックマーク。ここでは主に、はてなブックマークについて考えることにする。
個人的にこの分類は実にしっくりくると思っている。RSSというフォーマットで配布をすることができるブログ形式ではあるが、その中での統一性は無くそれを利用して何かをするのは現状難しい。また、個人ニュースサイトの延長線上にソーシャルブックマークがあるという私の考えは俺ニュとはてブと個人と集団でも触れたが、2.0的に考えると、ニュースをタグやキーワードで検索できたりそれを自分にカスタマイズした形で動的に取得できる機能はまさに個人ニュースサイト2.0といっても良いだろう。
しかし、そのようなソーシャルブックマークが本当に次世代の個人ニュースサイトなのだろうか?
もしかしたら多くのユーザからしたら、その方が次世代なのかもしれない。例え、興味あるニュースを集めて公開するという発信まではソーシャツブックマークも従来型個人ニュースサイトも同じであっても、それを利用するという点において考えると、ソーシャルブックマークは同じフォーマットを利用しているため情報の加工が容易でまた自分の欲しい情報やその周辺の情報を比較的容易に取得できるが、従来型ニュースサイトにはそのような機能はなく自分に合ったニュースサイトを見つけなくてはならないという面倒くささを感じるかもしれない。しかし、もしかしたら単に自分のサイトの価値を否定されかねないことへの恐怖からの言い訳なのかもしれないが、私は情報とユーザの間にある個人ニュースサイトにも大きな価値が存在すると考えている。
Web 2.0 を考えていく上で、重要なキーワードになるものの一つは RSS だと私は思っている。しかし、ARTIFACT@ハテナ系 - 個人ニュースサイトが今年増えた?でも言われているように、ブログ形式の羅列型ニュースサイトで大きくなったサイトがほとんどないという実情がある。その原因がRSSにあると私は思っていて、配信されたRSSをRSSリーダ上で読むことができるため、サイトにはアクセスせずRSSリーダ上で完結してしまい、発信するニュースの価値は感じることができても、サイトの雰囲気や楽しさまでは伝わりにくいのではないかと考えている。そして、そのRSSの中身のフォーマットまで統一させたものがソーシャルブックマークだとしたら、ブックマークした人の価値なぞ完全になくなり、すべては情報を便利に使うためだけのシステムが整っていくのではないだろうか。ソーシャルブックマークを集団知と呼ぶ所以もそこにあり、またそこには個人というものを非常に感じ難いものとなっている。
賢明な読者ならもう私が何が言いたいか気づいたであろう。Web 2.0といわれている次世代とは、情報を受信する側にとっては非常に便利ではあるが、発信する側がその分軽視されてしまうという点も含んでいるということである(ちなみに、最も恩恵を享受できるのはgoogleやはてなのようなプラットフォームとなるサイトではないかと思う)。もちろんこのように書くと、情報を発見した人や広めた人には全く価値がないと以前から思っていた人には、そこに価値を求めようとする考えさえも意味がないことに思えるかもしれないが、自分で発信側・伝播側にたっている人にとっては意味を持っている人もいると私は思っている。
また、Web 2.0的考え方ではサイトそのものへの価値を考えず、その中から本当に有用な情報だけを切り出すという考え方があると思っている。サイトの断片化。むだの除去。全体から部分へ。しかし、本当にそれで良いのでしょうか?もし、ビタミンが不足していたとしても、ビタミン剤だけ補給すればそれでいいのですか?果物を食べた方が良いと思いませんか?効き目抜群でやさしさのかけらも失ったバファリンをアナタはバファリンと呼ぶことができますか?断片をすべて集めることで個人を作ることができると思いますか?アナタ自身を断片化させて有用な部分だけを示されてそれをアナタ自身と思うことができますか?
私は情報受信者として、Web 2.0 という考え方は非常に便利だと思う。WWWをデータベースとして考え、検索・加工できることにより、自分に合った情報を的確に入手することができるのだから。
私は情報発信者として、Web 2.0 という考え方を受け入れ切れないだろう。私は一回の更新を一つの作品と意識しています。それを一部だけ持っていかれることには、抵抗しか覚えません。
Web 2.0に対応するということは、情報を検索・加工を扱える一部の優秀な閲覧者のために献身的に自分のサイトの一部を提供するといってもいいのではないでしょうか。有用な情報だけを集めたいと叫ぶ閲覧者と、一部だけでなく私全体を見て!と叫ぶサイト管理人の温度差はきっといつまでもなくならないのではないでしょうか。そして、なまじ2.0推進者ほど優秀であるがために、何も知らない人たちはわからないまま優秀な人たちに使われていくのだと思います。さらに、個人ニュースサイトはその典型的例であって、もし個人ニュースサイトがWeb 2.0的になったとき、そのときは個人ニュースサイトがサイトとしての価値を失うときかもしれません。
無論、Web 2.0のすべてを否定するわけではありません。これは私の価値観ですが、個人ニュースサイトの良さとはそのサイトの管理人がいかに多くの情報を目にしているかだと思っています。非常に質の良いニュースサイトだけを常に巡回しているようなニュースサイトよりも、常にあんてなを広げ新しい情報を探してこようという向上心を私は評価しています。だから、私の理想とする個人ニュースサイト管理人像は、そのような向上心を持った個人ニュースサイトを見つける能力とあんてなを広げていく能力を持つことだと考えているのです。ただただし@「ただのにっき」のエンジニアいとをかし/Tech総研 - RSSは谷間を飛び越えようとしているにこのようなことが書かれていました。
ウェブログブームの前からニュースサイトを運営しているような人たちにしてみれば、旧来の情報収集手法が極限まで最適化されている現状を捨ててまでRSSを使う意義はないでしょう。確かに現時点で有用なサイトを見るためには、それで良いと思う。そして現在の多くの孫ニュースサイトはそのような形でいると思います。しかし、あんてなを広げていくという点においては、Googleアラートやfresh feedのようなWeb 2.0的RSSこそが、非常に重要になってくるのではないかと思うのです。
Web 2.0と個人ニュースサイト。
個人ニュースサイトを運営する楽しみは、自分の興味を形にし見てもらうことだと思っている。たとえそのサイトの規模が大きくても小さくても、紹介しているニュースが誰かの役に立っていようと立っていなくても、ここに楽しさの原点があると私は考えている。しかし、Web 2.0はそれを優秀な閲覧者が使いやすいように最小の情報単位に断片化し、データベースとみなす。それは個人ニュースサイトから、楽しさだけが取り除かれ、残るのはニュースだけになるのではないだろうか。個人ニュースサイトの中に人を見るかニュースの価値だけを見るか。その差が、2.0と呼ばれる次世代型個人ニュースサイトを受け入れることができるかできないかだと思うのです。
あなたは個人ニュースサイトの管理人に興味を持ちますか?
あなたは個人ニュースサイトの情報にしか目を向けませんか?
[関連記事]
Kourick SuBlog - ささやかなサイト論のためのささやかなメモ。
歌う脳髄 - Web2.0について最近考えること
304 Not Modified - ソーシャルブックマークを用いて個人ニュースサイトをやる価値はあるのか。
インプレス (2005/11/29)
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コメント
同感です。
itunesでも、cd arbumが1曲単位まで解体されていて、
アーティストからすれば失ったものはかなり大きいかも。
表現のフィールドを移せ、ということなんですかね?
投稿: 通りすがり | 2005.12.05 12:43
(* ^ー゚)ノコンニチハ
初めまして(・∀・)ノィョ-ゥ
遊びにきましたぁ~~(´▽`*)
足跡フミフミしつつコメント残してきまふw
ブログすごい面白かったです~≧∇≦
良かったら私のブログあいりの事件簿にも
遊びに来てくらはい(*´▽`)人
来てくれたら( ´・ω・`)_且~~出すのでマッタリして楽しんでってね♪
http://loveypoo0990.blog33.fc2.com/
投稿: あいり | 2005.12.07 19:00