ブログは思考を育てる場所である。
これが、ウェブ進化論を読んで私が一番強く感じたことである。
ベストセラーとなった著書の影響は大きく、Web2.0だのGoogleだのロングテールだの語るネタには尽きない。しかし、この本を読んで一番私の考えに影響をしたことは、ブログは単なるアウトプットの場ではなかったということだ。
私が初めて作ったブログは、開設してから閉鎖のエントリを書き上げるまでまでの約半年間ずっとコメントをオフにしていた。理由はいくつかある。否定されるのが怖かっただとか、掲示板が別にあったからコメントを許可する意義を(当時の私は)感じなかっただとか、コメントを読者にストレートに見せる影響力に抵抗を感じていたとか。中でも一番に感じていたことは、ブログに書くものを「作品」と思っていたことだ。だから、書き上げるだけで充分に満足、カウンタがまわればそれで満足だった。そこにはコミュニケーションはなく、一方通行の提供しかなかった。
しかし、ウェブ進化論はご存知のとおり梅田氏が自分のブログで長いこと書き続けてきたことをまとめて仕上げた一冊である。その際、自分のエントリに対するコメントやトラックバック、そして関連記事を自分で探して書き上げたものだという。要するに、ブログに自分の意見を書き出すことで多くの人の目に触れ議論されることにより、自分の意見がさらに深くなっていくのである。
ブログはアウトプットの場であると、私は何度も言い続けてきた。しかし、アウトプットの終着駅ではなかった。コメントやトラックバックという機能が、さらなる思考を深めるツールとなっていたのだ。自分の書いた意見を否定されただけでキレるような人は、ブログに書いたことはすべて結論であると思ってはいないだろうか?まわりの意見によって、さらに自分の意見を考え直し、賛同意見により確信を得たり、批判的な意見でもう一度考え直すきっかけを得たりしようなんて考えていないのではないだろうか。
私自身、未だにコメントへの返信率が悪い。トラックバックを頂いても、さらに深くまで書き上げた記事は少ない。記事を作品と思っている傾向が強く、書き上げて公開した時点で満足してしまうことがある。もっと多くの人の意見に耳を傾けながら、自分の考えを深めていかなくてはと思いつつも、なかなかできていないのが現状である。「ブログは意見を述べて終わりの場所ではない。思考を育てる場所なんだ。」と、自分に言い聞かせていかなくては。
最後に、今後はこのようなブログに書き綴った記事を、多くの読者の意見を参考にまとめあげた本は増えていくと思う。これによって、今まではたった一人のカリスマライターが必要とされていた時代から、多くの意見をまとめ上げる管理者的能力が必要になっていくのだろう。これを、著書に敬意を表して「本2.0」と呼んでみようと思・・・ったが、恥ずかしいのでやめておく。
ウェブ進化論。
この本は、私にブログの向こう側を垣間見せてくれた。
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