« コメントとトラックバックの違い | トップページ | コミュニケーションをコンテンツにするリスク »

雑誌記者の話

ある雑誌編集部に一人の若者が配属されました。編集者になりたくて入社した彼にとってそれは念願の編集部への配属だったのですが、その雑誌は売上が少ないため記者の意識が低く、売上を伸ばそうというよりも、編集を楽しんでいると雰囲気が強い職場でした。それもそのはず、この雑誌は社長の趣味で発行されているので、売上数にこだわる必要がなかったのです。そのことを彼が知るのは、それから一ヶ月先の話でした。

最初のうちはどうやって記事を集めたら良いのかも分からず、先輩記者の記事を掲載したり、流行りのニュースに自分の見解を書いてみたり、あたりさわりのない記事ばかりを書いていました。しかし、例えそんな記事であっても、初めてできた雑誌を手に取ったときは感動しました。うれしさのあまり、知り合いのその雑誌を配ったほどです。

しかし、多くの友達はおめでとうという言葉をかけてくれた中、2つほど違った反応があったのです。

J( 'ー`)し「たけしへ。雑誌届きました。良く燃えたので、焼き芋がおいしくできました。次は一緒に食べようね。」

( ^ω^)「たけし、お前はこんなのを作りたかったのか?僕との誓いはこんなものだったのかお」

彼は友達の言葉に、忘れていたものを思い出しました。どうして編集者になりたいと思ったのか。高校時代、友達と作った学級新聞。そのときも、新聞委員というだけでイヤイヤ作っていたものだったが、クラスメイトに頼まれて載せた「猫、探しています」の記事。あのとき、たまたま猫を見つけて探し主の元に連れて行ったとき見た、若い夫婦の笑顔。あの笑顔が忘れられなくて、もう一度あの笑顔が見たくて、編集者になることを誓ったんだ!田舎に一人残してきたかーちゃんのためにも、このままではいけないっ!!

そのときから、彼はただ雑誌を編集するだけでなく、いろいろと試行錯誤を始めました。アンケートを導入して、購読者層を調べたり、どのような記事が良いと思われているかを調べたり。「記者の視点での意見が欲しい」という意見があれば、自分ならではの視点で記事を書いてみたり、「写真を多くして欲しい」とあれば写真を増やしたり、試行錯誤の日々でした。

そして、「隠れた名店を知りたい」という意見から、隠れた名店を紹介する連載記事を始めることになりました。そこで、今までは先輩記者に頼りきりだった取材を、自分の足だけでやってみたのです。まだまだ自分の足で探すことになれてなかった彼でしたが、一つの小さなパン屋の記事を書き上げることができました。

それは小さな記事でしたが、雑誌発売の翌日には友達からも「パンおいしかったお」というメールをもらい、そのパン屋に足を運びました。すると、店の前は人だかりでいっぱい。いつも眉間にしわを寄せていた店長も、今日は眉間に汗ばかり流しながら笑っていました。

 あぁ、オレはこの笑顔が見たかったんだ…

その記事は、瞬く間に評判になり、雑誌の売上も伸びていったのです。中でも、彼の隠れた名店特集の連載は評判が高く、なんと社長賞をいただくこととなったのです。しかし、彼はこの連載について悩んでいました。自分が紹介した店に人が押し寄せてしまうのは本当に良いことなのだろうか。その店の雰囲気を壊してしまっているのではないだろうか。単に消費されているだけなのではないだろうか、と。

迷いは消えぬまま、彼は社長賞受賞のため社長室へと向かったのです。

('∀`)「失礼します。この度は、社長賞に選んでいただきありがとうございます。」
(´ω`)「たけしくん、堅い挨拶はいいよ。立派になったねー、あれから10年かい?」
('∀`)「えっ!?もしかして社長はあの時の・・・」

なんと社長は、あのときの猫の飼い主だったのです。社長は、あのときの喜びを忘れられず、自分の会社で雑誌を発行するまでにいたったとのことでした。読者から届く「ありがとう」の手紙が楽しみで、今でも届いた手紙すべてに目を通しているとのことでした。そんな社長から一通の手紙を渡されました。差出人は書かれていけれど、きっとこれはキミ宛の手紙だろう、と。

その手紙を読んだ彼は驚きのあまり涙を流し、かーちゃんに電話をしました。

('∀`)「かーちゃん、とーちゃんが見つかったよ…」

<中略>

('∀`)「まさかオマエが大手出版社に入るとはなー。」
( ^ω^)「例え雑誌の発行部数では勝っていても、僕はまだたけしに勝ったとは思ってないお。いつか僕もスクープを見つけてみせるお」

あれから5年。
彼は今も毎日、小さな雑誌の編集部で汗を流しています。彼の記事を楽しみにしている読者のために…


この記事はタルタルソースも空を飛ぶ:パン屋の話のアナザーストーリーのつもりで書いてみました。が、全然別物になってしまいました。伝えたい趣旨がどこかいってグダグダになってるし…。ごめんなさいw

はてなブックマークに追加

|

« コメントとトラックバックの違い | トップページ | コミュニケーションをコンテンツにするリスク »

コメント

うちは見つけられたパン屋の一つです。
まなめさんの話はこれから個人ニュースサイトをはじめようという人にとっては参考になる話だと俺は思います。俺はパン屋の視点には立てますが記者の視点から書くことはできませんから。アナザーとしてはたいへん興味深い話ですよ。

投稿: 小樽 | 2006.05.22 13:23

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/1573/10182260

この記事へのトラックバック一覧です: 雑誌記者の話:

» [ネット]パン屋の話(from タルタルソースも空を飛ぶ)/雑誌記者の話(from 304 Not Modified) [明日は明日の風が吹く]
 ブロガーとニュースサイターそれぞれの立場のお話……と思いながら読んだ。どちらも分かるなぁ、どちらもやってるから。私はパン屋をやりながら雑誌記事も書いているようなもんだし、ちょっとインチキかもしれない(笑)。  でもね、自分が書いた文章を楽しんで貰えたり、... [続きを読む]

受信: 2006.05.22 22:33

« コメントとトラックバックの違い | トップページ | コミュニケーションをコンテンツにするリスク »