サービス提供者はユーザを選べない?
それでも、たまにダイアリーやその他のサービスでブログを書いたり、写真共有サイトに写真をアップして友達に送ったり、Wikipediaを見たりYouTubeを見たりしているので、かなりインターネットは活用している。一日中ネットに張り付いているような人たちが、新しいネタやサービスを追いかけ続けているその後ろに、置いてきぼりにされた大集団、みたいなものがあって、実はそちらがマジョリティなのだ、という現在の構図がようやく最近実感としてつかめてきた気がする。確かにそうだけれど、マジョリティを追いかけてしまったらサービスは成り立つのだろうか。id:jkondo自身が書いている通り、大半のユーザは“○○を見たり、○○を見たりしているユーザ”である。ネット上に置いて発信するユーザはいかに特異であるかというのは、ネットサービスを提供する中心にいても感じるのだろうし、我々いちユーザが感じる特異感はどれだけ大きいか分かるだろう。
うさんくさい - jkondoの日記
私のはてなへのイメージは“書く人が集まった集団”である。一日中ネットに張り付いているような人たちとあるが、案外そんな人は多くなくて、むしろ外に目を向けつつも書くことができたときには率先して書こうと考える人たちがはてなに多い印象を持っている。特異なのは、ネットに触れている時間ではなく書くという行為だと。書いて反応をくれる人は書く人であり、繋がりやすさに長けているはてなというサービスはさらに書き手同士を繋げる。おかげで読み手が近づきにくい何かを感じたのだろうか。俗にいうはてな村も、書き手に閉じたユーザのことなのかなって思ったことがある。
だから「マジョリティ=大半の“見るユーザ”」向けのサービスを提供したとして、そのサービスは“回る”のだろうかと疑問に思ってしまう。無論ユーザを限定することはできなくて、どんなサービスもアルファな人が飛びつき、自分の使いやすいように耕し、その盛り上がりを見て次第にユーザが集まってくる。ここで、初級者が飛びつきやすいかどうかにマジョリティを取り込めるかどうかがある気がする。しかし、アルファな人たちが耕した後の状態はサービスを発表した時点と変わってしまうこともあるだろう。なにせ、要望によって使いやすく変わるサービスこそアルファな人には好まれる。その自由度が初心者には敬遠されてしまうことになるのだが。
はてな記法も最初は疑問だらけだったけれど、最近は非常に使いやすくて他のブログサービスでも使えないものかと思っている。しかし、最初に使うまでの敷居の高さ。これがある限りは、初級者を取り込むのは難しいだろう。音楽だって、初めて聴いて良いと思う曲と、聴き続けていくことで味が出てくる曲がある。最初から最後まで良い曲もあるが、そこまで高望みしたらきりが無い。そして売れるのは前者であり、それがマジョリティの出した結論なんだろう。
先日、Twitterでたまたまこんなやりとりをした。
私は、サービス提供者がユーザの方向性を決めることはできないと思っている。むしろ、方向性の決められたサービスは用途を限定された気がしてユーザに嫌われてしまうのではないかとさえ思っている。
私はアルファな人が使いこんでいる姿を“見て”使えそうだと判断したら“参加”して使い込む、先駆者ではないが遅くもないユーザだと思う。そんな私は、シンプルなサービスが好きだ。根がプログラマだからなのか、どのように作られているか容易に想像できないものは好んで使いたくならない。また、複雑なサービスは応用が利きにくい。単純だからこそ用途の幅が広く、その機能を使うことでどのようなことができるかをひたすら考えるのが楽しみなのだ。
だから、もし私がサービス提供者だったら、こんな風に使われたいと思う機能を提供すればいい。そうすれば、その機能を自分の思ったように使ってくれる人が誰かしら出てくる。そして思っていた以上の使い方をする人も現れれば、されたくない使い方をする人も現れる。どう使われるのかは分からないが、目的があるのならばそれに合ったサービスを出し続ける他ないと思う。例えばニコニコ動画を教育に使いたいのなら、四択機能や一定時間コメント不可機能、コマ送り機能など、教育目的に使えそうなサービスを出していけば、そのように使ってくれる人が必ず出てくると思う。
うまくまとまらないので、自分の理想のサービスを書いて終わりにする。金儲けをするならユーザに金を儲けさせるシステムを作るべきという、インフラ最強論を掲げる私としては、サービスを作りやすいサービスを作るべきだと考える。そのために必要なのはAPIの充実ではなく、それは当然の上で、作られたサービスを盛り上げる場(仕組み)が必要だと思う。うさんくささは“見えないもの”に感じるのだと思う。だったら、見せて知ってもらえばいい。それだけなんだ思う。
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