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インターネットが書店を殺すのか

一年くらい前だったか、ある有名なブロガーさんに「情報収集ってどうやってしてます?」と聞かれて「書店です」と答えたら、「私も書店ですね」と意見が一致して、なんだかんだ書店の情報量って凄いですよねみたいな話をしたのですが、最近近所の本屋の質が落ちてきてしょんぼりしております。

本屋さんの質って、店員(アルバイト)の力量がだいぶ影響すると思うんです。特に田舎の本屋さんとか顕著で、ラインナップを見ると定番の本以外は完全に中の人の趣味で揃えているなって思うことがあり、しかもそこしか本屋がないものだから地域全体が影響されちゃったりして、おもしろいことになったりするんです。

そういえば、HMV渋谷が閉店してから半年がたちました。シブヤ系発祥の店とまで言われたHMV渋谷でしたが、閉店の少し前にした大幅リニューアルのときに、「店舗を大きくしただけで、HMV渋谷でしかないものが無くなっていた」という声をツイッターで見かけたのがとても印象に残っています。

本屋でバイトするって本が大好きなわけですよ。CDショップだって音楽が好きだからそこに行くわけで。そして、好きなものならば表現したいことってのがあると思うんです。自分が推したものを買ってくれるとうれしいですし、それを「良かった!」と言ってくれて、あなたのお薦めをお願いしますなんて言われたら店員冥利に尽きるじゃないですか。

以前はそうやって表現できる場所って、店舗でしかなかったと思うんですよ。あるいは、本当に友達に教える程度の口コミ。でも、今ってインターネットがあるじゃないですか。インターネットの最大の利点は、個人が全世界に伝えるメディアを持ったことだと思うんです。表現の場を手に入れたんです。だから、自分の好きなものを多くの人に広めるのに、書店やCDショップで働かなくてもできるようになったんですね。

ここで、「インターネットが書店を殺すのか」に繋がるのですが、Amazon.co.jp が便利すぎて書店に足を運ばなくなるというものではなく、好きなことを表現する場所としてインターネットを選択することで現場で表現しようとする人が減り、現場の質が下がること。それにより、系列店の陳列を上層部で統一することで品質を保つようになり、現場で表現できなくなる。そうなると、本当に好きな人が現場に集まらなくなり、さらに店員の質が悪化し、本当に売るだけの存在になってしまう。わくわくしない店に人は集まらないよ。

一方で、目利きのできる人はネット上で自分の好きな本を紹介する。そこにAmazonへのリンクを貼ればユーザーは購入できるし、紹介した人はアフィリエイトで対価を得ることもでき、時には感想まで頂けることがある。そのサイトが有名になれば、書店のライバルとなり、さらに書店は厳しくなっていく。このスパイラルが、すでに何周かしている気がする。

そしてこれは書店だけでないでしょう。例えばマスコミも同様。この前、会社を休んで一日テレビをつけていたら昼間はずっと韓国ドラマをやっていて驚いた。なんでも今テレビを一番見ているのは主婦層だそうで、そこをターゲットにした番組が増えていく。しかし、メインで働くのはやはり30代男性が一番多そうだし、そういう人は自分の見たいものを作りたいだろうに、それができず、テレビがつまらなくなっていく。滞在時間がネットに奪われているのは、作り手が楽しんでいないからではないか、マスコミに入らなくてもYoutubeやニコニコ動画で表現できるからではないか、とさえ思うことがあるんです。

私は完全にネットの住人ですので、多くの人がもっと自由にもっと個性を出してネット上で自分を表現してほしいですし、ニュースサイト管理人の一人として、今まで表現できなかった何かを持っている人を一人でも多く見つけ出して、良さを皆に知ってもらいたいと思うわけです。

だから、リアル店舗で商売をしているみなさん、もっと頑張ってください。日本の商売の衰退はあなたたちにかかっているんですよ。


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コメント

あー、ちょっと話はずれるんですけど、似たようなことをコンビニですら思いますね。客が裏事情に詳しすぎると思う。というより、見せかけだけの新商品「であることになっているもの」に反応しない。「おまえの店はどういうつもりでこの商品を陳列してるんだ」っていう客からの暗黙の問いかけって、昔より強くなってるような気がします。
と同時に逆の動きとして、テレビとかネットで話題になったものを、きっちりと品揃えして、短期に売り切るっていうのが非常に重要になってきてて、いずれにせよ、店舗は客の少し先を進んでなきゃいけない。客が情報通になった分、店舗はよりがんばらなきゃ売りづらくなってきてるなーと。

投稿: えむけーつー | 2011.01.06 08:09

書店を殺すのは、一部の版元と書店員と熱狂的な読書オンチのファンでしょう。

たとえ店員が本好きだとしても、
普通の消費者より本が読めて(読解力があって)その良さを表現できるかというと、
必ずしもそうだとは言えないと思いますよ。

本屋大賞などを見るに、伊坂などの御都合主義的現代ミステリーを多く選んでいますし、
選ばれる作品も、底が浅くていかにも現代的且つ、読書歴の浅い人向けのものが多いですし、
日本語の良さや、行間を読むといった機微などを考えもせず、派手で判りやすくて驚くものか泣けるものばかり。
もっとも、アレは本を売るための賞なので、目利きによって選ばれたとは言えないと思いますけど。

問題なのは、本当に良いものを売ろうとせず、目先の利益優先で、
話題を集めるものだけを売りたがる版元や書店にあるのではないでしょうか。
水島の処女作しかり、春樹の1Q84しかり。
それに「もしドラ」も、表紙絵の女子マネージャーが書かれていなかったらあそこまで売れていたでしょうか。
ドラッカーの経営学を真に必要とする人が、彼の著書を読まずに「もしドラ」の方を買うとは思えませんし。
「バチスタの栄光」にしても、目を丸くするほどおかしな日本語が平気で載っていますが、版元のプッシュで売れました。

こう言った傾向から、お客に本を薦める立場である店員も同じような「売らんかな」思考になっていて、
何か面白い本ありますかと訊くと、「いまは1Q84がよく売れているんでおすすめです!」という、
全く自分の考えや判断がすっぽ抜けているような回答をする人が多いのではないでしょうか。
新旧関係なく、自らが面白くて浸ったという本を紹介してくれる人はどれほどいるのか。

これは評論家や新聞社のネット上の書評なども同じで、
話題になっている本への否定的意見を書く人はほとんど存在せず、
いくら内容に乏しかろうと、話題だからと諸手を挙げて賞賛する人ばかりです。

だからこそ個人が様々に論じて多様に評価するべきなのですが、
ブログなどの乱立により、いくら良質のことを書いても耳目を集めることは容易ではありません。
作家のファンが褒め称えて書くような評価が多すぎますし、
しかも内容は「面白い」「すごかった」「感動しました」という小学生の読書感想レベル。

やはりリアル書店で働く書店員らが、本の目利きをこなし、
あまたの石の中から珠を拾い上げて、良いものを書けば報われるという流れにするべきなんですが、
現状のままでは無理でしょう。
おそらく、いずれ書籍業界も邦楽CDと同じようになり、
一部のコアなファン以外は相手にしない、表面的に華美で中身はスカスカの紛い物ばかりになると思います。

版元は社員の報酬を減らしてでも、コツコツと人を育てて本質を高めようとしないかぎり先はないでしょうね。
そして書店員も、客を呼び込むための努力をもっとして欲しいと思います。

投稿: 太郎 | 2011.01.06 11:07

買い物はネット通販がメインだけど、
やはりデメリットは速度だから、
本は発売日に本屋に買いにいくことが多い。

ただ、近所の本屋にもいろいろあって、
マイナーな本は1冊も入荷しない本屋もある。
逆にどんなにマイナーだろうと必ず入荷する本屋もある。
もちろん利用するのは後者。
いくらネット通販が便利になっても本屋には廃れて欲しくないので、
客のニーズに応えてくれる本屋は積極的に利用するようにしている。

まあ、どうしても売ってなければネット通販になるわけだが。

投稿: | 2011.01.06 12:24

自活してない人の意見だな
部屋からパシャパシャキーボード打って「リアル店舗の人たちがんばってください(笑)」という。
なんのリスクも責任も負わずに、がんばってる他人に自分の意見押し付けるだけ。
それでいて悦にひたるとかマジキチがい。
従業員を雇い家族を養うとなればマーケティング重視があたりまえだ。
それが嫌なら赤の他人に任せず自分でリアル店舗開けば?
口先だけで行動がともわない人間の発言なんてゴミだよ。
そっくりそのまま返す? 
少なくとも市井でリアル店舗やってる人間にそんな口叩くなよな。

投稿: | 2011.01.07 13:01

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